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現実のプロセスの中にトラブルの原因は潜む
先日、ローマに出張した時のことです。今回は、成田からの便が午前中だったので、出発前夜は成田のJALホテルに泊まりました。なぜJALホテルを選んだかというと、利用する便がJALで、その場合、JALホテルに宿泊していると空港まで行かなくても朝ホテルのJALカウンターでチェックインできるからです。このことは、JALのホームページにも書いてありますし、予約のときにも確認しました。さらに、ホテルにチェックインしてベルボーイに荷物を運んでもらっているときにも、確認しました。

さて、翌朝6時にホテルのJALカウンターへ行きました。チェックイン開始は6時半からなのですが、ベルボーイに「6時半だとすでに並んでいるので、もう少し早く行かれたほうがよいと思います」と教えてもらったからです。そのおかげで、先頭から2番目に並ぶことができ、30分ほど待って、チェックインが始まりました。僕の番になって、チケットを提示すると、スタッフが「この便はアリタリア航空とのコードシェア便(2社で機体と乗務員のワンセットを融通しあい運行する便)なので、ここではチェックインできない」というのです。「JAL便(JLで始まる便名)はここでチェックインできるのではないか?」と食い下がりましたが、結局ダメでした。僕と同じ被害(?)は、同じ便を使う数名のお客さん達にも及んでいました。
さて、なぜこのようなことが起きたか、ということを考えてみましょう。まず、JALサイドの言い分です。
?JALカウンターの言い分:「ここでチェックインできないコードシェア便については、その旨カウンターの前に張り出してある」
?JALホテルの言い分:「部屋においてある案内パンフレットには、コードシェア便はホテルでチェックインできない場合がある、と書いてある」
ということでした。

では、客(僕)の行動を振り返って見ましょう。
先述したように、まず、ホームページでチェックインできる旨を知りました。もしかすると、「コードシェア便はダメな場合もある」と書かれていたかもしれませんが、気がつきませんでした。
次に、電話で予約をする際、念のため、JAL便ならチェックインできる旨を確認しました。
ダメ押しは、先ほどお話したとおり、チェックインして部屋に向かう途中のベルボーイとの会話です。
この3回の、少なくとも予約係とベルボーイとの2回の会話において「コードシェア便はチェックインできない場合がある」ということを客に伝えるチャンスがあったと考えられます。

では、このトラブルが発生した一番の問題は、なんだと思いますか? それは、「顧客が情報を得るためのプロセスが適切に設計されていない」、ということなのです。
つまり、JALサイド(ホテルもカウンターも)は、「コードシェア便に関する情報は提示してあるのだから、客はそれを見るはずだ(あるいは見るべきだ)」というスタンスですが、客はその情報を見るように誘導されていないということなのです。ホテルのスタッフが「大丈夫」という事柄について、他から情報を得ようとする客はまずいないでしょう。
もちろん、ホテルのスタッフがこの件に関する知識を持っていなかったことにも問題はあります。しかしながら、「顧客の一連の行動を想定し、プロセスのどこかでトラブルを防ぐ」というほうが上位に位置する必要があるのです。
トラブルがよく起こる業務というのは、このようにプロセスが適切に設計されていないことが起因しているケースが数多くあるのです。

さて、ここからは少し余談です。
?皆さんは、航空機のチケットを見てコードシェア便かどうかを判断する方法をご存知でしょうか。もちろん、チケットには「コードシェア便」という言葉はどこにもでていません(日本語でも英語でも)。では、どうやって判断するかというと、航空券の左上にある”ISSUED BY(発行会社)”と右側の半券の真ん中辺りにある航空会社名が違っていれば、便名が発行会社のものだとしてもコードシェア便なのです。今回の場合は、便名がJL5603、” ISSUED BY”がJAPAN AIR LINES、航空会社名がALITARIA でした。

?「チェックインカウンターの前にここでチェックインできない便名は掲示してある」ということですが、カウンターの前には沢山の客が並んでいるので、列の後方の人には一切見えません。つまり、何十分も並んで、やっともうすぐ自分の番だと思ったところでカウンターに張ってある「お知らせ」をみて愕然とするわけです。

?NGといわれた後、部屋に戻りました。そして、試しにフロントに2回電話して「JL5603便はホテル内でチャックインできますか?」と聞いたところ、一人は「OK」といい、もう一人は「NG」と答えました。

?もちろんこれは、何度も何度も繰り返されているトラブルのはずです。しかし、誰も根本的な原因=プロセス設計のミスが見つけられないので、解決できないままになっているのです。

以上
2005-01-06 (Thu) | 黒須靖史

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