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あなたは顧客を差別できるか?
マーケティングにおけるひとつのツールにFSPというものがある。これは" Frequent Shoppers Program" の略で、一言で言うと「優良顧客優遇策」、もう少し長く言うと「たくさん買ってくれる(利用してくれる)お客様には高優遇を、そうではないお客様にはそれなりに」という考え方である。
FSPの基本は、「顧客の差別的対応」である。つまり、
 つまり「顧客をいかに差別するか」なのである。こう書くと「客を差別するとは、なんとケシカラン!」と思われる方もいらっしゃるだろう。ただ、それは「その店(あるいはサービス)を利用していない側」の意見であり、頻繁に利用している側としては、「これだけお金を落としているんだから、もっとサービスして当たりまえ」となるのである。
 例えば、皆さんが頻繁に飲みにいく居酒屋があるとしよう。ある日、その居酒屋に行った時に「いつもありがとうございます。この焼酎、特別に手に入ったので、どうぞいっぱい召し上がってください。いつも来てくださるお客様への特別サービスです」と言われたら、うれしいものだ。
 しかしながら、隣のテーブルの、はじめて来たと思しき客にも同じように言っていたとしたら、あなたは「おいおい、俺のほうがしょっちゅう来てるのに、同じかよ?!」と思うのではないか?
しっかりしたFSPならば、あなただけが焼酎のサービスを受けることができる。つまりFSPとは、顧客を「一定の基準で公平に差別する」ことにより、優良顧客を囲い込む方策なのである。この一定の基準は、多くの場合「商品を購入した金額」あるいは「購入した回数」、もしくはその両方である。
 FSPが戦略として成功するには、大きく3つのポイントがある。1つは「顧客を正しく認識すること」である。これは、「(今、店にきて)利用している顧客が上顧客なのか、そうではないのか」ということを利用履歴から識別することである。これを実現する代表的なものとしては、ポイントカードが挙げられる。
 では、2つめのポイントはなんだろうか? 自分自身がある店の特別な顧客だと思って、3分ほど考えてみて欲しい。


 答えは「顧客を明確に差別する」ということである。
もし、あなたがその店から特別なサービスを提供されていたとしても、それは「上顧客だから」ということがわからなければ、ありがたみを感じないだろう。逆に言えば、提供する側(店)は「あなたを優遇しています」ということを明確に提示しなくてはならない。それによりあなたはそのお店のより強力なリピーターとなってゆくのである。
 さらに、明確な提示は上顧客であるあなただけにではなく、一般の顧客にも行うことが必要となる。つまり「上顧客になれば、あんなふうに優遇されるんだ」ということを知らしめることによって、一般顧客の利用金額・頻度を引き上げるのである。

 では、3つ目のポイントはなんだろう? 同じように自分自身がある店の特別な顧客だと思って、3分ほど考えてみよう。


 いかがだっただろう? 答えは「顧客が欲しがるサービスを提供する」ということである。
先ほどの居酒屋の例は焼酎のサービスをしてくれたが、もしもあなたがビール党だったら、うれしくもなんともないだろう。あなたがうれしいと思うサービスと受けられなければ、いくら差別的の高優遇をされても、その店を使い続ける理由にはならない。
つまり、この3つ目のポイントを実現するには、「顧客が何が欲しいかを考え、コストをかけてでもそれを提供する」ということである。
 
 日本でも多くの小売業やサービス業がFSPを導入しているが、それは実際にはFSPもどきである。なぜなら、この「コストをかける」ということに躊躇しているからである。コストをかけないで顧客が固定化するということは、ほとんどありえない。もちろんコストをかけてもそれ以上に利益を出すことが大前提である。
それだけにFSPを実施するには、コスト・パフォーマンスをしっかりと見極めなければ意味がないのである。

■FSPの例■
FSPは航空業界がその始まりと言われる。仕事柄、僕は飛行機を使うことが多いのだが、僕はまんまとFSPによってJALに固定化されている。JALにおけるFSPの主なポイントは次の通り。

・JMB(JAL Mileage Bank)会員はマイル獲得によって多大なメリットを受ける。さらにマイルが貯まればたまるほど(乗れば乗るほど)マイルが貯まりやすくなる。そして会員が得られるメリットも大きくなる。
・顧客が得られるメリットは「多少料金が高くなったとしても他社を利用するよりも多くのメリットが得られること」
a)一般客との差別:専用ラウンジの利用、優先搭乗、優先キャンセル待ち、割引商品の優先購入、機内での声かけ、etc.
b)プレゼント:無料航空券、無料アップグレード券、マイル獲得率Up、フラワーギフト etc.
・差別が明確であること=優越感、利便性の獲得
・ポイント獲得の方法が明確かつ公平である
・簡単に獲得ポイントの確認ができる
・次のステージが明確であること。それを目標として計画が立てられること
(JMBには搭乗回数または距離によって4つのグレードがある)

以上
2005-03-06 (Sun) | 黒須靖史

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