これは中小企業大学校東京校で、商工会議所等の「経営指導員」(会員の経営相談に乗る立場)という方たちを相手に研修をしたときの話です。
演習の時間に、1グループ5人ぐらい、10グループほどでグループワークをおおなってもらいました。作業に使用する備品(サインペン、模造紙等)は各グループに配布するものと、共有するものを用意しました。共有する備品は教卓横のテーブルに並べておきました。
あるグループが、共有備品であるセロテープを
これは中小企業大学校東京校で、商工会議所等の「経営指導員」(会員の経営相談に乗る立場)という方たちを相手に研修をしたときの話です。
演習の時間に、1グループ5人ぐらい、10グループほどでグループワークをおおなってもらいました。作業に使用する備品(サインペン、模造紙等)は各グループに配布するものと、共有するものを用意しました。共有する備品は教卓横のテーブルに並べておきました。
あるグループが、共有備品であるセロテープを自分たちのグループに持って帰って使いました。そして、そのままグループ全員が食事に行ってしまったのです。食事時間は各グループに任せていたので、その時間に作業をしているグループもあります。
しばらくして、セロテープを使おうと思った他のグループは、教卓横にあるはずのセロテープを探して、広い研修室中をうろうろ探す羽目になってしまいました。
さて、ここで考えて欲しいのは、この研修に参加しているのは先述したように、企業に対してアドバイスをする人たちだということです。もちろん「5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)」ということを知っているだろうし、雑然としている製造業の現場などを指導する場合は、この5Sの重要性を説いていることだろうと思います。
しかし、結論から言うと、彼らは(そのグループの人たち)は、知識があってもそれを使う場面を考えられないということなのです。
ルールとして決まっていることをできるのは、当たり前です。ただし、これではビジネスのレベルは、そのルールのレベルにとどまってしまいます。つまり、ルールがレベルアップしない限りそれから上には上がっていかない、ということです。人はルールでうごいている限り、あるいは、「ルールに沿っていればいいや」と思って行動しているその人が関わっているビジネスはアップグレードしません。
自分の社員がルールで動いているのか、知識を活かして仕事をしているのか、はルールが明示されていないシチュエーション(社外や休日など)でわかります。例えば、今回のセロテープの件もそうです。「備品は元に戻しましょう」といったレベルの低いルールは明示されていませんが、研修全体の効率を考えることができたなら、セロテープを独占してしまう(あるいは存在場所を不明確にしてしまう)ということは起こらなかったはずです。
組織を動かす場合、ルール以上のことを考えられる人材を育てることが、ビジネスのアップグレード(より多くの取引先、より多くの顧客、より効率的な作業、より高い取引額、より高いステータスetc.)に直結するのです。そして、これを実現するには相当な労力を要します。なぜなら、一般に従業員というのは「ルール以上のことは考えようとしない」というタイプが大多数だからです。経営者はこのことを忘れてはいけません。
ちなみに、「5S」のうちの「しつけ」とは、「習慣化、定着化」という意味を持っています。「より多くを考えるためのしつけ=ビジネスをアップグレードするするスパイラル」が企業の実力を現すのです。
以上
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